ソローヒルの庭新連載1
以前執筆した朝日ビジュアルシリーズ「野菜づくり花づくり」
の連載エッセイ「ソローヒルの庭から」を大幅に加筆改稿して1年間52回
週刊連載します。自然を愛する人々、田舎に住みたい方々に読んでいただければ幸いです。
文・鶴田静 / 写真・エドワード・レビンソン 禁転載
「ソローヒルの庭 12ヶ月52週」
第1週 啓蟄 2013/3/4から
丘に建つ家の東側の谷に沿うのは、菜の花畑、蜜柑山だ。そこに集まる蜂や鳥の羽音が、東風に運ばれて耳に届く。この雄大な里山風景から庭に目を移すと、今年の寒さで咲き遅れた日本水仙やヒヤシンス、クリスマス・ローズがおずおずと花を開いていていとおしい。猫の尻尾のようなネコヤナギの花穂は、薄紫から白へと変わり、白と紅色のジンチョウゲが咲きめて、春の喜びと香りを人の心いっぱいに満たしてくれる。