鶴田静新刊ご案内
『宮沢賢治の菜食思想』(晶文社) 2310円(税込み) 298頁
本書は1999年刊『ベジタリアン宮沢賢治』をもとに、改筆・増補のうえ刊行されたものです。この新装版には 賢治の描いた「教材絵図」の全図49点がカラーで掲載されています。また賢治にまつわる料理が、鶴田のレシピで14点併載されています。賢治の描いた動物画とともに心温まるイラスト入りで、楽しい、そして重量感のある本となりました。
晶文社 www.shobunsha.co.jp
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これまでの書評をまとめました。書評と紹介 その1
お近くの書店で、または図書館にリクエストしてくださると幸いです。
目次 (小見出しをざっと抜き出してみました。編集部倉田氏がていねいに作って下さいました。興味深い項目があると思います。ネット購入の方は、こちらをご参考になさってください。)
序 章 一通の招待状
第一章 物語のかなしいいきものたち
蜘蛛となめくじと狸 注文の多い料理店 氷河鼠の毛皮 なめとこ
山の熊 よだかの星 やまなし 二十六夜 賢治の「かなしみ」
第二章 賢治のビヂテリアン宣言
菜食の原動機 虐待される動物をどう扱えばいいか 屠畜される動物たち人間を食物連鎖の輪に入れる 保阪嘉内への手紙 転生とベジタリアニズム 〃流転〃と〃輪廻転生〃の融合 日本のトルストイアン 賢治とトルストイ
第三章 理想の食卓
菜食の自覚 ベジタリアンたちが夢見た黄金時代 食の霊化、浄化 宇宙の生成物からの食 水と塩を重んじる 天上の聖餐 天上の菓子 イマジネーションで空腹を満たす 賢治作品に多出する果実 敏感な幼児期の味覚 子どもの食事は菜食から 天上の食、地上の食
第四章 大地の土と化す
賢治の畑 教師を辞めて農業に専念する 自己流の野菜作り 新しい野菜 保阪嘉内とトルストイ 徳富蘆花とトルストイ 保阪嘉内と徳富蘆花 保阪嘉内は菜食主義者だったか？
農に入る決意 本当の農民とと同じにやりたい 命を生み出すための努力
第五章 コミュニティー=イーハトーブの構想
労働と芸術がバランス良く配置された理想の地 理想的な国家での食事 「新しい村」運動 武者小路実篤の場合 松田甚次郎、宮沢賢治を訪ねる 羅須地人協会の精神を受け継ぐ
実り多き黄金時代を「今、ここ」に 天災、飢餓飢饉へのおそれ
農業の科学を講義する 「グスコーブドリの伝記」 雑穀のすすめ
私たちにも幸せに生きる権利があるはずです 動物愛護とベジタリアニズム
附録 １ 羅須地人協会絵図
第六章 ビヂテリアン大祭
ビヂテリアン大祭 肉食者と菜食者の問答
(桃、鼠、黄、茶、白)色のビラへ現代からの回答
ポール・リシャール「私の菜食主義」
アプトン・シンクレア『ジャングル』に描かれたシカゴ畜産会社
賢治が盛岡で見聞した屠畜の有様 『ビヂテリアン大祭』が発表さ
れるまで 賢治の〃新しい〃ベジタリアニズム思想
第七章 からだと病と食
元来病弱だった賢治の生い立ち 病を抱えながらの労働 賢治をさ
いなむ肺結核 菜食しながらの結核治療 菜食の健康と長寿への効
果 〃強い身体と戦争〃の思想 賢治の選んだ健康法 「玄米四
」合」の問題 死との対峙 成仏のための菜食
参考文献 あとがき 附録２ 賢治の食事と料理
オビより
あとがきより
「東日本大震災と福島第一原発事故も含め、二万人以上の人々と多数の動植物の生命を失ったことから、いかに生命それ自体が生きることの根源であるかを思い知らされたのでした。天災からにしろ、戦争や事件・事故の人災からにしろ、あまりに生命が軽んじられている現代では、生命の尊さを深く再認識しなければならないと思います。
賢治は、その生命を、小さな虫の命であろうとも尊重する心を物語に書いたのでした。本書では、その尊い生命を〃食する〃ことを考察した賢治の思想と生き方を中心にして、数々の作品を読み直しました。するとそれは、ベジタリアン、すなわち肉食をしない者の生き方となります。賢治は「ビヂテリアン大祭」にその意義を社会的観点から述べています。……二十一世紀にいる私たちが、賢治の理想を現実的に受け入れる時に来ていることを痛感したことでしょう。賢治があれほどに心を砕いていた自然災害の防災と復興への願いと平和への希求心、それこそが今の私たちに求められているのではないでしょうか」
賢治にちなんだ料理のいくつかーー本書の写真はモノクロです。
黍団子 子狐紺三郎の作り方
キクイモの味噌漬け
カリフラワーのホワイトソースかけ
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